中京郵便局(支店)の風景印(京都府京都市)
明治時代の貴重な建築「だった」局舎
【使用期間】平成24年3月23日~
【図案説明】中京郵便局(支店)の庁舎
【使用切手】旧日本銀行京都支店/近代洋風建築シリーズ、昭和57年発行
3月23日から使用開始となった、京都府京都市・中京(なかぎょう)郵便局の新しい風景印です。
局舎だけを描いたシンプルなデザインですね(なお、切手の建物はこの風景印の図案と異なりますが、同じ京都の近代建築、ということで合わせてみました)。
公式情報の図案説明ではたんに「庁舎」となっていますが、京都市登録有形文化財としての名称は、「中京郵便局旧庁舎外観」です。
京都市の登録有形文化財紹介ページの説明にはこうあります。
京都郵便電信局として逓信省営繕課の設計で明治35年(1902)に竣工した。ネオルネッサンス様式で、当時の代表的郵便局であり、日本近代建築史上重要な建物であった。昭和51年に改築されたが、この時旧庁舎の南面及び東西側面の一部の外壁と屋根が保存された。
つまり、建物そのものは残っておらず、古い建物の外側部分だけが保存されているわけですね。
風景印ではひとつの建物として見えるように描かれていますが、実際にはこの「旧庁舎の南面及び東西側面の一部の外壁と屋根」が描かれているのです。
こうした保存方法は、ファサード保存と呼ばれ、いわば建築物の「剥製」です。
東京・丸の内にある「日本工業倶楽部会館」など、今や、このファサード保存された建築物は各地で見られますが、この中京郵便局が最初のケースだと言われています。
建物は建て替えたい、でも解体してしまうといろいろと問題がある、という場合の折衷案として考えだされた、いわば苦肉の策。
古い建物をそのままの状態で残すというのは、メンテナンスが大変(要は金がかかる)なのはわかりますし、街並みとしての景観は保持されるわけですが、残念ながら、歴史的価値はほぼゼロです。
先ほど引用した説明文の「日本近代建築史上重要な建物であった」という過去形がそのことを表していて、なんとも悲しいかぎりです…
旧風景印
いっぽうこちらは、昭和52(1977)年7月1日から平成24(2012)年3月22日まで使用された、旧図案です。
図案は「二条城東南隅楼と京扇子に襖の松」ということですが、残念ながら摩耗が激しく、ほとんど印影がわからない状態でした。
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